日本サッカーは「異常気象」にこう備えよ(3)浦和「先制」も…川崎戦「突然の中止」と雨雲レーダー、Jリーグ「秋春制」導入も…「8月上旬」開幕の矛盾の画像
8月27日、マティアス・ヘグモ監督(写真)の解任を発表した浦和。そのため、中止となった川崎戦後半の指揮は、監督に復帰するマチェイ・スコルジャ前監督が執ることになる。撮影/重田航

 異常気象と言われる事態が、もはや日常であるかのように、日本を含む世界の気候は大きく変動している。その影響は社会のあらゆる面に及び、サッカーもその例に漏れない。かつてとは違う真夏と、日本のサッカーはいかにつきあっていくべきなのか。サッカージャーナリスト後藤健生が考察する。

■ホームの浦和が「素晴らしい入り」も…

 さて、SBSカップ観戦を2日目までで切り上げた僕は、翌日8月24日(土)にはJ1リーグ観戦のために埼玉スタジアム2002を訪れたのだが、ここでもまた雷雨に遭遇してしまった。

 浦和レッズ川崎フロンターレの試合だった。

 19時03分にキックオフとなったが、試合開始直前に降り出した雨が時間の経過とともに強くなっていく。一時はバックスタンドが見えないほどの豪雨で、たちまちピッチ上には水が浮き始め、30分を過ぎる頃にはパスもうまく回らなくなるほどだった。

 試合はホームの浦和が素晴らしい入りを見せて先制ゴールを決める。

 夏の移籍で主力級が何人も抜けた浦和だったが、非常に速いテンポでパスが回り、おそらく今シーズンを通じて、これだけ良い内容の試合はあまりなかったのではないか。大島僚太が復帰してから良い内容の試合が続いていた川崎だったが、この日は、序盤から浦和の猛攻に圧倒されてしまった。

 4分にはブライアン・リンセンが縦に入れたパスに安居海渡が反応したが、シュートは右のポストに当たってしまう。その後も猛攻が続くと、23分には左サイドから右サイドにパスがつながり、右サイドバックの石原広教のクロスがリンセンの頭をかすめて左サイドに抜け、それを大畑歩夢が折り返し、最後は渡邊凌磨が押し込んだ。

 ところが、この得点の直後に飲水タイムがあってゲームが中断する。そして、それを境に次第に川崎が流れを変える。攻め急ぐことなく、ボールを落ち着かせることによってポゼッションの時間を長くして立て直したのだ。

 こうして、1対0で浦和がリードしてハーフタイムを迎えた。後半の立ち上がりに、どちらがリズムをつかむのか……。

 すると、まず後半のキックオフが遅れるというアナウンスがあり、その後すぐに試合中止が伝えられた。

 雨は、やや収まりかけていたので、なぜこの時点で中止なのか釈然としなかったが、雨雲レーダーを見れば、埼玉県、東京都一帯が豪雨に見舞われており、サポーターの安全な帰宅を考えても「中止」というのは妥当な判断だったと言えるだろう。

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