■高井幸大が見せた変化

 筆者がこの話を聞いたのは、8月14日のこと。「この間のゲーム」とは11日のFC東京戦のことを指しており、どんな言葉をかけていたのか、質問を重ねると、指揮官は目を細めながらこう語る。

「いやもう、シンプルですよ。“行くぞ、行くぞ”、“次の3点目だ”、“そのまま落とすな”とか。チーム全体に問いかけるような声です。みんなが言いそうなことだけども、後ろの選手とか若い選手から出てくる言葉っているのは響くのもありますし、やっぱり声を出すっていうのは、他の人にもそうだけど、自分自身を引き締めるためにもすごく重要なことだとは思います」

 今季前半戦、鬼木達監督はたびたび、チームを引っ張る強い意識と気持ちを若手選手に求めていた。
「俺がチームを助けるんだ」

 そういう気持ちを、持ってほしいと。それを、高井幸大がロッカールームで出すようになったという。

 それをもたらした一つの要因が、川崎の激しいポジション争いなのではないかとも分析していた。
「最終ラインはけが人も含めて人数は多いので、ライバルも多いんですけど、そういった中で」と、試合に出るために、それぞれが大きな成長を求めているのだという。

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