■提案したい「1試合2回」の申し立て

 この判定には、スペインメディアからも批判が出たという。現在のVARの運用から見れば100パーセント正しいかもしれない。しかし、サッカーとして正しいかどうか。

 こうしたことをなくすためには、原則としてVARを「チャレンジ制」にするしかないのではないか。それぞれのチームに、1試合2回の「チャレンジ権」を与え、成功すればその回数を保持できるという、他の競技で普通に行われている方法である。

「原則として」とあるのは、ピッチ上のレフェリーも相手チームもまったく気づかないところで起こった重大な違反行為を、VARが見つけ出す可能性があるからだ。ブラジルでは、レフェリーの判定に不満を持った監督がテクニカルエリアで卑猥なポーズをとり、それを見つけたVARからの報告で退場になるという「事件」が起きている。こうしたことに対応するために、VARからのアドバイスだけでレフェリーが映像を見るという方法も残しておく必要がある。 

「チャレンジ」の対象は制限しない。たとえばPKや得点に直結しなかった場面でタッチラインを割ったかどうか、どちらのスローインかなどといった、通常なら軽微と思われるものでもかまわない。

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