「Jリーグはサッカーの敵を撲滅すべし」2つの緊急提言(3)スペインメディアからも批判が出た細谷真大「同点ゴール」取り消しと導入したい「チャレンジ制」の画像
細谷真大(中央)の「同点ゴール」に歓喜した日本ベンチだったが、VAR判定の結果、取り消しに。撮影/渡辺航滋(Sony α‐1)

 サッカーは美しいスポーツであるが、そうではない部分も存在する。審判に選手たちが執拗に異議を唱える場面も、そのひとつだ。観る者をげんなりさせる「サッカーの敵」とも言うべき試合のワンシーンを消し去る2つの方法を、サッカージャーナリスト大住良之が提言する。

■失点チームの異議なしで「無」に

 と同時に、VARの「プロトコル(実施手順)」の全面的な見直しも、こうした醜い事態を解消するのに役立つのではないか。

 VARは90分間のすべてをチェックしているが、実際に判定に「介入」できるのは、前述の4つの状況に限られている。すなわちファウルの判定のミスがあっても、それが得点やPKや退場に結びつかない限り、介入はしない。してはならないのである。しかし、選手たちはひとつのファウルにも強く反応し、それが異議や取り囲みにつながる。

 その一方で、失点したチームが何の異議も示していないのに、VARが小さな「反則」を探し出して得点を無にすることもある。

 もちろん私は、パリ・オリンピックの男子準々決勝、日本対スペインの前半終了間際の細谷真大の「得点」の話をしている。

 パーフェクトと言っていい美しい攻撃から、信じ難いテクニックと身のこなしで生まれたゴール。スペイン選手たちも、誰もが「やられた」と思った。ところがVARは、藤田譲瑠チマがパスを出した瞬間に、細谷のシューズのかかとが、スペインのゴール側から細谷に体をつけてマークしていたスペインDFの体よりわずかに出ていたことを見つけ出し、ゴールの判定を取り消したのである。

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