【スペインに肉薄の8強。下馬評の低かったパリ世代が奮闘した理由(1)】U-23アジアカップ制覇から五輪への急激な飛躍。「今年に入って選手たちがグッと伸びた」と大岩監督が言う背景はの画像
パリ五輪準々決勝 U-23サッカー日本代表 細谷真大 荒木遼太郎 佐藤恵允 山田楓喜  写真:日本雑誌協会代表撮影/中地拓也

 パリ五輪の男子サッカーは、開催国・フランスと日本を準々決勝で3-0で撃破したスペインがファイナルに進出。8日(日本時間9日未明)の最終決戦に挑むことになった。

 その一歩手前で涙を飲んだ日本はいち早く解散し、4日には大岩剛監督らスタッフや国内組14人が帰国。羽田空港で総括のメディア対応を行った。

「スペインには今までも負けていますけど、今回はちょっと中身が違う。0-3ですけど、『やりようによってはイケるな』という手ごたえがありました。データ上でもそれが明らかになっています」

 山本昌邦ナショナルチームダイレクター(ND)が語った通り、改めてデータを見てみると、ボール支配率こそ39%対53%(8%は中立)と下回っているものの、シュート数は9本対12本とそれほど差がなく、ファイナルサードへの侵入回数は14回と9回で日本の方が上回っていた。守備に関しても、セーブ数、ターンオーバーとプレスの回数で日本の方がスペインより上。攻守両面で相手を脅かしたのは紛れもない事実なのだ。

 そもそも、パリ五輪世代はコロナ禍の影響で2021年に予定されていたU-20ワールドカップ(W杯=インドネシア)が中止となり、国際経験不足が懸念されていた。2023年時点で森保一監督率いるA代表招集歴があるのも、久保建英(レアル・ソシエダ)、鈴木彩艶ナポリ)、細谷真大(柏)、藤田譲瑠チマシントトロイデン)くらいで「タレント不足」という見方が根強かった。

 ゆえに、今年4~5月のAFC・U-23アジアカップ(カタール)前では「五輪切符獲得さえも厳しい」「96年アトランタ7大会続いてきた五輪連続出場が途絶えるかもしれない」というネガティブな論調が後を絶たなかった。彼らはそれをバネにしてアジア制覇を達成。そこで1つの壁を越えることに成功した。

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