【”飛び級”なきパリ五輪代表から、ロス五輪世代に託されるもの(2)】後藤啓介、佐藤龍之介など”ロス五輪世代”にかかる期待……「ハイスケールなFW」がひしめくの画像
パリ五輪を前にしたフランス代表との試合で出場した佐藤龍之介 写真:日本雑誌協会代表撮影/中地拓也

 東京五輪ではMF久保建英とGK鈴木彩艶の二人が”飛び級”でメンバー入りしたが、2001年生まれ以降の選手がベースとなるパリ五輪で”ロス五輪世代”の選手を加えることはできなかった。もちろん大岩監督が多くの選手をチェックしてきた中で、特別扱いなしに、バックアップを含めた22人(直前に離脱した半田陸とクラブ事情でバックアップを辞退した佐野航大を含めれば24人)に割って入れるタレントがいなかったのが現実だろう。

 それでも後藤啓介に対する高評価や、事前合宿のトレーニングパートナーとして帯同した佐藤龍之介が、大岩剛監督に「パリ五輪に残したかった」とまで言わしめた事実を考えれば、もしかしたら今年の活動にそうした”ロス五輪世代”のタレントを何人か招集して、大岩監督が手元でチェックできる機会が与えられていたら、最終メンバーでのサプライズはありえた。結果的にオーバーエイジを招集できず、松木など数人の主力候補が移籍などを理由に外れたことを考えても、そこは心残りの部分かもしれない。

 大岩監督は「みんなでしっかりと考えて、それが次のロス五輪とか、アメリカW杯で目指すところかなと思います」と語る。パリ五輪のメンバーに”ロス五輪世代”が一人も今回の課題として認識しつつ、次世代の選手たちがロス五輪と言わず、北中米W杯に向けたA代表の競争に食い込んでいくことに期待を寄せた。日本人選手は傾向として成熟が遅く、長友佑都伊東純也のように、いわゆる”後伸び”でA代表の主力に定着する選手も少なくない。それでも勢いのある10代の選手がどんどん台頭してくることで、代表チームにもたらす刺激は間違いなくある。

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