■技術は完璧も…「すべてが無になる」
さすがに日本を代表するGKであり、昨年のドイツ戦では4-1の勝利に貢献したGKである。大迫の技術は完璧と言えた。最初の素早いステップも、そしてディフレクションに対する反応も、第一級のものだった。しかし、長い時間の努力で培ってきた技術も、足をスベらせてはすべてが無になる。
大迫の足は白いシューズに覆われていたが、私は彼がどんなメーカーの何というモデルのシューズを履いているのかなど、あまり関心はない。ただ、調べてみると、彼が今季はいているのは、アディダスの「コパピュア2」という固定式スタッドのものだという。だが、どんなシューズを履いていても、別にどろんこではないきれいな天然芝の上で足をスベらせるなど、GKとしてあってはならないのではないだろうか。
今回の話は、シューズの底についているもの、「スタッド」と呼ばれる突起物のことである。近年のサッカーでは、相手に対する足裏でのタックルや踏みつけなどが大きな問題となっているが、こうした行為が相手にケガをさせる危険性が大きいのは、シューズの底に固いスタッドがついているからだ。
現在のサッカーシューズのスタッドの数や形状はそれこそ千差万別。しかし、いずれにしても小さな突起物の集まりであり、タックルや踏みつける選手の全体重×速度で表される大きな力が、スタッドの底面積という小さな場所に集中する。その結果、相手の足に大きなダメージを与えるのである。