■ハイレベルな経験による伸びしろ
師岡のようなハイレベルな経験が不足している選手はその分、伸びしろがある。それは後半からピッチに立った藤井智也や17歳の期待の新星・徳田誉にも言えることだ。
特に徳田は、鈴木優磨のタテパスを胸トラップして一矢報いるゴールをゲット。オフサイドギリギリではあったが、1つの自信になったのは間違いない。
「本当はこの前のJリーグ(FC東京戦)で取れれば一番よかったけど、1つ、ゴール取れたっていうのはすごく大きなことかなと。もっともっと大事な場面でゴール決められるような選手にならなきゃいけないし、このゴールが少しでもきっかけになればいい」と背番号41をつける若武者は未来を見据えていた。
アカデミーの先輩・鈴木優磨が「誉は鹿島を背負って立つ選手になる。将来的には俺と誉が組む形も見せていければいい」と期待を込めて話していたが、チャヴリッチが負傷離脱した今、それをいち早く具現化することが彼らに強く求められているのだ。
「自分が鹿島を背負っていくためにも、どんどんこれからやっていかないといけない」と徳田自身も語気を強めた。世界を見渡せば、17歳でユーロ2004の優勝メンバーになったラミン・ヤマル(バルセロナ)のような逸材もいる。だからこそ、徳田には成長速度を一気に引き上げてもらう必要がある。
彼が示した希望が中断明けの鹿島の大きなプラスになってくれれば理想的。ここからのチームの総合力・完成度向上に期待を寄せたいものである。
(取材・文/元川悦子)