■W杯カタール大会「7試合50万円」

 1977年といえば、この写真は、彼の欧州への最初の取材旅行で生まれたものだった。21歳という若さで単身、夢のような欧州サッカーの世界に飛び込みながら、雑誌やテレビでしか見たことのなかったスター選手たちが目の前を走り回るのに自分自身を失うことなく、サワベ氏が鮮やかに「時代」を切り取る一枚をものにしていたことに、私は改めて驚嘆の念を抱かずにいられないのである。

 現代のサッカーが、それを愛する人々にとっていかにハードルの高いものになってしまったか、例を挙げるのも、もの憂い。

 2022年のFIFAワールドカップ・カタール大会で、私の友人が「TST7 JAPAN」というチケットの抽選に当たり、狂喜した。7試合、決勝戦まで日本の試合を追うことができるというチケットである。日本が負ければ、その相手チームの試合を決勝まで追うことができる。ところが、その値段が約50万円。1試合7万円以上だった。

「ワールドカップでは、チケットの値段など見ないし、考えないようにしている」と、その友人は苦笑いした。

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