「行動を起こさなければいけない」

小久保 今は、大きい夢を持つことよりも、小さな夢をひとつひとつかなえて、最後に、大きな結果につなげられればいいなと考えています。
 先ほども言いましたが、一番近いのはワールドカップに出場すること。もちろん、それは小さな夢じゃなくて、すごく大きな夢ですけど。相馬勇紀くんや守田英正くんに聞くと、ワールドカップは最高の舞台だっておっしゃっていたので、自分も早くA代表に選ばれて、2年後のワールドカップに行きたいと思っています。
 それが自分の中で最重要なので、そのために代表の試合に出なければならない、早くメンバーに定着しなければいけないと、日々、強く感じています。
 ベンフィカ所属のニコラス・オタメンディ選手とディ・マリア選手がアルゼンチン代表としてワールドカップで優勝してクラブに戻ってきたとき、すごくかっこよかったんですね。だから、パリ五輪に出てメダルを取るか、優勝をして、かっこよかった彼らの姿に、少しでも近づきたいなと思っています。
 今、ベンフィカではなかなか試合に出られていないので、クラブで試合に出ることも目標ですね。

 そのために自分がプレーできる場所、出場機会が得られる場所に行くために、行動を起こさなければいけないなと感じています(7月11日、ベルギー1部のシント=トロイデンVVへの完全移籍を発表)。
 ベンフィカでプレーしたいですが、まずはコンスタントに出場して、いつかは5大リーグのどこかに挑戦したいですね。

――最後に、ファンの皆さんにメッセージをください。

小久保 たくさん試合に出て、皆さんに自分のいいプレーを届けられるように頑張っていきたいなと思っています!

       ※                          ※

 アジアカップ決勝戦の試合後、頼れる守護神は、こう言った。「みんなを守りたかった」。それはPKを献上してしまったDF関根大輝を含めた日本代表のチームメートであり、さらには応援している日本国民すべてだったのかもしれない。
「ゴールを守る」ではなく、「みんなを守る」S・G・G・K(スーパー・グレート・ゴール・キーパー=『キャプテン翼』©高橋陽一)が、きっとパリの大舞台で、日本をまだ見ぬ高みへと連れていってくれるはずだ。

小久保玲央ブライアン(こくぼ・れお・ぶらいあん) 2001年1月23日生まれ、千葉県出身。193センチ、91キロ。ナイジェリア人の父と日本人の母との間に生まれ、小学生時代は柏エフォートFCでプレー。柏レイソルU-15、U18で才能を伸ばし、18年、柏レイソルトップチームへ。同年1月開催の「アルカス国際カップ」で大会最優秀GKに選出されたことで世界的に注目され、翌19年1月、ポルトガル1部の強豪SLベンフィカのU-23チームに加入することに。20年8月には、UEFAユースリーグ決勝でレアル・マドリードと対戦。2-3で敗れるも、大会準優勝に貢献した。同年10月、2部SLベンフィカBで初ベンチ入り。22年1月、Bでデビューを果たし、5月にトップチームで初ベンチ入り。日本代表としては、U-15代表候補に選ばれたのを皮切りに、各年代で選出。今年4月のAFC U23アジアカップでは、数々のビッグセーブでパリ五輪出場権、アジア制覇に貢献。7月11日、ベルギー1部のシント=トロイデンVVへの完全移籍を発表した。

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