■世界のエリートがつどう「ミニ・W杯」
しかし、女子サッカーの場合は様相が違う。
オリンピックの女子サッカー競技はフル代表が参加する大会であり、FIFAのインターナショナルマッチ・カレンダーに含まれているから、各国協会はすべての選手を招集して最強チームを参加させることができる。
女子サッカーも世界的に普及度を上げ、昨年、オーストラリアとニュージーランドで開催された第9回ワールドカップからは参加国数が32に拡大された。
ただ、残念ながら、まだ女子の場合は上位と下位の実力差は大きく、グループリーグでは5点差以上の差がついた試合が7試合もあった。
そうした状況を考えると、12か国しか参加できないオリンピックの女子サッカー競技は、世界のエリートのみを集めた「ミニ・ワールドカップ」的な大会なのだ。男子サッカー以上に、注目すべきではないだろうか。
女子のワールドカップは奇数年に開かれる。そのため、女子の場合はワールドカップがあった翌年にオリンピックが行われることになる。
ワールドカップの予選と本大会を終えると、すぐにオリンピック予選があって、本大会を迎える。代表チームにとってはまことに難しいスケジュールと言わざるを得ない。
男子サッカーの場合、ワールドカップを終えて、すぐに新チームを作るというスケジュールが定着している。
オリンピックはフル代表とは別の大会だが、ワールドカップの2年後にはEUROやコパ・アメリカがあるので、各国代表チームはそれを目標に新チームを作り、各大会が終了してから次のワールドカップに向かっていく。
もっとも、アジアの場合、アジアカップがワールドカップの翌年(しかも、中東開催の場合は1月)に開かれるので(2023年大会は、中国が開催権を放棄したおかげで2024年1月開催となったが)、ワールドカップに参加するような強豪国にとっては難しいスケジュールになっている。