■ワールドカップ出場が「現実的な目標」に

 1980年代まで日本のサッカー界の最大の目標はオリンピックだった。だが、1990年代に入るとオリンピックが23歳以下の大会となったため、フル代表はワールドカップを目指すしかなくなった。幸い、1990年代の初めには日本でもサッカーがプロ化されて日本代表のチーム力は急上昇。ワールドカップ出場は現実的な目標となっていった。

 しかし、日本のサッカー界にとってオリンピックは依然として重要なイベントだった。

 オリンピックでの成功体験があったことも理由の一つだ。ベルリン大会でのスウェーデン戦での逆転勝利。1964年東京オリンピックでのアルゼンチン戦勝利。そして、1968年メキシコ・オリンピックでの銅メダル……。日本サッカー協会の幹部たちにとって、それらは貴重な体験であり、記憶だったのだ。

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