■スター出場のために認められた「OA枠」

 サッカーでも、IOCはトッププロの参加を望んだ。だが、FIFAはワールドカップを差別化するために、オリンピックへのトッププロの参加には反対だった。

 1988年のソウル・オリンピックにはワールドカップに参加したことのない選手であれば、誰でもが参加できた。そのため、同年に開かれたEUROで活躍したユルゲン・クリンスマンやトーマス・ヘスラー(西ドイツ)、アンドリー・ミハイリチェンコ(ソ連=ウクライナ)といった選手が出場。ブラジル代表にも、ロマーリオやカレカといったスーパースターが顔をそろえた。

 これは、FIFAにとっては望ましい状況ではない。そこで、次の1992年バルセロナ大会から、オリンピックのサッカー競技(男子)は23歳以下の選手の大会ということになったのだ。同大会では、FCバルセロナのジョゼップ・グアルディオラなどが活躍して金メダルを獲得して大いに盛り上がった。

 しかし、IOCはさらに多くのスター選手の出場を望み、結局、FIFAとの妥協として、1996年のアトランタ大会からは年齢制限のない3人のオーバーエイジの出場が認められたのだ。

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