【イングランド代表vsスロバキア代表 6月30日】
ゲルセンキルヘンに向かう電車の中、スロバキアの青いユニフォームを着た父親とその小学生くらいの息子に、サングラスをかけた40歳くらいのイングランドのファン男性が話しかけている。
「今のイングランドはよくないからね。きっと今夜は均衡した試合になる。あなたたちの国にも十分、勝つチャンスがあると思う。帰りは幸せな気持ちでいられるかもしれない。幸運を」
こんな会話が現実になりかけていた。
前半のイングランドは母国のファンからブーイングを浴びながら、プレーしていた。
ジョン・ストーンズに戻ったボールは、その行先を的確に定められずに、またストーンズへと戻された。
ハーリー・ケインは静かだった。
フィル・フォーデンは悪くは見えないが、攻めあぐねていた。
そんな中、スロバキアが先制した。
25分、イワン・シュランツのゴールだった。
その後、後半も時間は過ぎて行った。
残り時間はほとんどない。
ここでガレス・サウスゲイト監督はフォーデンを下げて、イヴァン・トニーを入れた。
ロスタイムの掲示は6分。
掲示通りなら残り1分、追加の1分を加えても残り時間2分。
ゴール前の混戦、浮き球に飛んだのはジュード・ベリンガムだった。