大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第141回 【8大会連続へ「サッカーW杯出場」のハードルは上がったのか】(3) 10回目の「正直」と5.5チーム中1チームの「現状」、アジア杯が示す出場チーム「格差」の画像
最終予選で対戦するインドネシアとはアジアカップで戦って3-1で勝利。上田綺世のシュートが相手DFに当たって3点目が入った。原悦生(Sony α1使用)

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような、「超マニアックコラム」。今回は、8.333…枠に入る確率。

■初めて最終予選に進出も…「ドーハの悲劇」

 AFC加盟チームだけでワールドカップ予選が行われ、AFCに与えられた出場枠を争うようになったのは、ようやく1986年メキシコ大会からである。AFCに与えられた2枠に対し、史上最多の27チームがエントリー。このときには東西で1枠ずつ分け、日本は韓国との「東地区決勝」まで進んだが、連敗に終わった。

 1990年イタリア大会にはアジアから26チームがエントリー。「アジア最終予選」には6チームが進出し、1回戦総当たりの形でシンガポールで集中開催された。当時はFIFAの国際試合カレンダーもなく、欧州のクラブでプレーしているアジア選手もほとんどいなかったため、10月に2週間の大会期間で集中開催という方式が可能だったのだ。

 そして1994年大会も同じ方式で行われた。エントリーは29か国。「1次予選」を勝ち抜いた6チームが1993年10月に中東のカタールに集まり、2週間の総当たり大会を戦った。

 Jリーグ開幕の年である。日本は「サッカー熱」のまっただ中だった。この形の「アジア最終予選」が始まって初めて「最終予選」に進出し、ワールドカップ初出場まで「あと数分」のところまでいきながら後半のアディショナルタイムにイラクに得点を許して2-2で引き分け、出場権をつかみ損なった。「ドーハの悲劇」である。

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