■同点弾の場面で考えていたこと
試合をイーブンにした後半アディショナルタイムの場面、磐田目線ではどう動いていたのか。まず、その起点となったのは鈴木海音のヘディングだった。川崎がクリアしたハイボールを鈴木が頭ではね返し、ジャーメイン良が収めて仕掛ける。それを佐々木旭が回収してバックパスするが――という流れである。
その鈴木は、前後半での流れの違いをピッチの上で感じている。「前半はすごくうまくいってるって感じていた」と話す一方で、「後半の45分間、ずっとああいう形じゃなくて、どこかで行くときも必要」と振り返る。
だからこそ、最後のチャンスを逃さなかった。先述したヘディングも、「トラップしてマイボールにつなげられる」と考えたが、「前を見たときにジャメがちょっと空いてたんで、ヘディングでうまくつなげた」と判断を変えたという。
そのボールを受けたジャーメインは、「体力的に厳しくて、ほぼつってるような状態で本当に限界だった」とその状況を振り返るが、「ラストで仕掛けて、勝負に行った中で相手のミスでラッキーなとこがありましたけど、最後、縦に勝負したから生まれた点だったので、交代せずにピッチに残ってた中で一つ、最後に攻撃的な役割を果たせた」とストライカーとしての安堵感を見せた。