■ライバルで盟友に掛けた言葉

 川崎フロンターレとの対戦で、相手チームにはよく見知った顔がある。CBでフル出場した高井幸大だ。U23アジアカップや米国遠征で長い時間を共に過ごし、勝利を目指すチームメイトとして、同時に、同じポジションの椅子を争うライバルとして切磋琢磨した。

 競争の世界では仕方のない構図ではあるが、高井はその切符の一枚を勝ち取っていた。ライバルであり盟友――そんな関係性の高井に、鈴木は試合前にエールの言葉を送ったという。

「遠征もずっと一緒に行ってたし、センターバックで一緒にやってた仲なので」

 晴れやかな表情でそう話す鈴木が高井に掛けた言葉は、「がんばれよ」。明かしたのは一言だけではあるが、試合前というわずかな時間だったためやり取りできる言葉の数は少なかった。何より、その一言の中にさまざまな意味と重みがある。

 さらに鈴木は、「あとで、またあっちで話します」と笑顔でチームバスの方を指さす。伝えたい気持ちが、まだあるのだ。

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