J3のヴァンラーレ八戸で、石崎信弘監督がリーグ史上初となる偉業を達成した。クラブが発表した記念グッズに、他クラブのファン・サポーターも魅了されている。
トップ中のトップのリーグで記録されたものではない。だが、リーグの歴史に燦然と輝く大記録が達成された。
6月23日に行われたJ3第18節で、八戸はY.S.C.C.と対戦。この試合で指揮を執った石崎監督は、Jリーグ通算800試合での指揮を達成したのだ。
25年以上に及ぶ指導者人生だが、その道のりは山あり谷ありだった。むしろ、苦労の方が多かったかもしれない。
スタートは旧JFLだった。大分トリニータ、川崎フロンターレでは、選手たちを徹底的に鍛えてJ1昇格の素地をつくりながら、最後の結果だけが伴わず、後任に願いを託した。
ようやく自身で結果をつかんだのは、2006年のことだった。柏レイソルをJ1昇格へ導くと、コンサドーレ札幌、モンテディオ山形でもチームをJ1へと導いている。
J1での指揮こそ少ないが、指導者としてのキャリアが続いているのは、その手腕への期待の表れだ。決して予算に恵まれたクラブではなくとも、サッカーへの愛を胸に、選手たちを鍛え上げる力を発揮し続けている。
Jリーグ最多勝利数を誇り、のちに日本代表監督となった西野朗氏のような華やかなキャリアではないかもしれない。だが、日本サッカーの力を確実に育んできた石崎監督の働きは、称賛されてしかるべきものだ。
800試合指揮という偉業を祝うべく、八戸は特別グッズを制作。そのデザインはまさにこれまでのキャリアに敬意を表したものであり、他クラブのファンも刺激せずにはおかなかった。
クラブカラーの緑、そして黒の2パターンでTシャツとタオルマフラーを作成した。ともに「800試合記念」との文字が大きくデザインされているが、これまでの歩みにも大きなリスペクトを表現している。これまで率いたJリーグの11クラブのエンブレムが、石崎監督の横顔とともにデザインされているのだ。