■同点とされるも「戦い方を変化させていった」
しかし、C新宿はすぐにDFを投入して、5-3-1のような形で守備を固めてきたので、高知Uはそれまでのようにカウンター主体の戦い方ができなくなってしまった。
案の定、高知は圧倒的にボールを握り続けたものの、効果的な攻撃ができず、さらに、38分にはCKからC新宿の米原祐に決められて同点とされてしまったのだ。
「さて、どうするのか……」
だが、高知Uはけっして焦ることなく、次第に戦い方を変化させていった。
後半に入ると両サイドバックを高い位置に張り出して、相手の守備をピッチの幅いっぱいまで広げ、左右からのクロスを入れ続ける。そして、62分にアタッカー2人を交代させて、攻撃の圧力を高めていった。
すると、選手交代直後のCKから2点目が生まれた。交代で投入された金原朝陽のCKは跳ね返されたものの、拾った金原が入れたクロスを宇田光史朗が決めて勝ち越し、さらに72分には佐々木敦河がミドルシュートを決めてC新宿を突き放した(87分にも、内田優晟が5点目を追加)。
「試合は生き物だから」と語るのは、高知Uの吉本岳史監督。高知出身で、名古屋グランパス、水戸ホーリーホック、横浜FCで活躍した指導者だ。
吉本監督は、選手個々のストロングポイントを発揮させ、チームのやり方を固定したりはせずに、相手によって、試合展開によって使い分けるのだという。
実際、C新宿戦ではカウンターから先制し、相手が少なくなって攻めあぐねながらも、次第に攻撃の形を変化させ、そして交代をうまく使って勝負を決めた。まさに会心の勝利だったはずだ。