■川崎Fと横浜FMの「革新的サッカー」が波及

 2017年に川崎フロンターレがJ1リーグで初優勝。以降、2022年までの間は川崎と横浜F・マリノスの2チームがJ1リーグのタイトルを独占していた。徹底してパスをつないで相手を崩す川崎と、サイドバックも攻撃に参加してアップテンポなサッカーを展開するする横浜FM。どちらも、ポゼッションを重視した、非常にアグレッシブで革新的なサッカーだった。

 この2つのチームの躍進で、J1リーグのレベルは大きく上がった。そして、ここ2年ほどは、川崎、横浜FMに対抗するようにカウンタープレス型のチームが台頭してきた。

 J1のレベルアップを追うように、J2リーグのレベルも上がり、2022年にはパスをつなぐサッカーでアルビレックス新潟が優勝。昨シーズンは、守備強度が高いFC町田ゼルビアが圧倒的な強さを見せた。さまざまなスタイルが混在するJ2の上位同士の戦いは、J1にも劣らない迫力と魅力がある。

 そして、競技力向上の波はさらにJ3リーグにも波及していく。

 Jリーグのクラブ数が60に達し、J3リーグにも降格(JFLとの入れ替え)制度が導入され、勝負の厳しさも加わってきた。そして、昨シーズンにはさらに下のカテゴリーであるJFLのレベルも上がって、激しい星のつぶし合いが展開された。

 下部リーグの選手たちの個人能力も上がったし、また、どのチームも高度な戦術を取り入れている。今では、どのカテゴリーのリーグでもGKがパス回しに参加したり、サイドバックが攻撃的MFの役割を果たしたりすることは、当たり前のようになっている。

 もちろん、ゴール前での決定力や運動量ではJ1リーグに及ばないにしても、同一カテゴリー同士の試合では、かなりハイレベルな攻防を見ることができる。

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