■簡単な解決方法は「レフェリーの黒シャツ」

 私は野澤やFC東京を非難するつもりはない。もっと簡単な解決方法があったはずだからだ。とてもシンプルな解決法である。レフェリーが黒のシャツを着ればよかったのだ。

 Jリーグのレフェリーには、シーズン前に何色ものシャツ(パンツとストッキングはどのシャツ色でも黒を着用する)が配布され、試合のときには指定された色のシャツを持参する。同時に各クラブにも予備のウェアが配布されており、万が一の場合には、ホームチームが用意したものを着用する。当然、黒のシャツも用意されている。

 そもそも、サッカーの審判員のウェアは全身黒が定番だった。これは、レフェリーというものが、そもそも観客席のしかるべき紳士に「このプレーはどう判定を下せばよいのでしょうか」と問い合わせをしたことから始まっている。19世紀後半の英国で紳士と言えば着用しているのは「フロックコート」であり、フロックコートといえば「黒」と決まっていたのである。

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