■遠野大弥「前に強い選手がいる」
広島戦の先制シーンでは、関わらなかったフィールドプレイヤーは高井幸大のジェジエウの両DFと、リスク管理で残っていたボランチの橘田健人の3人だけだった。アンカーを置く[4-3-3]から、ダブルボランチの[4-2-3-1]にシステムを変えて3試合目。攻撃面で生じているポジティブな変化を遠野もこう語る。
「前に強い選手がいるので、そこに当てて入っていくとか、潜っていく部分では必然的に距離が近くなる。そういったところを、みんなで共有できていると思う」
遠野が言及した「強い選手」とは、2戦連続で先発した山田に他ならない。J1復帰を果たした2005シーズン以来、実に19年ぶりに負け越してターンするなど、苦戦が続く川崎でようやく見えてきた光明が、桐蔭横浜大から加入して2年目の山田の1トップとしての責任感、そして貪欲な向上心に導かれる成長となる。
一方で時間の経過とともに、光を覆う今シーズンの課題も顔をのぞかせてきた。
(取材・文/藤江直人)
(後編へ続く)