■アディショナルタイムにドラマが…

 前半の仙台は最前線から規制をかけなかったため、長崎の左CB田中隼人、アンカーの秋野央樹がフリーになることが多かった。彼らにボールを動かされることで、インサイドハーフの加藤大マテウス・ジェズスをつかまえきれない、という状況が生まれていた。

 後半は前線からのプレスも織り交ぜ、攻守にパワーを注いでいく。そして55分、ユアテックスタジアム仙台が沸き上がる。

 相手の縦パスを小出がカットし、MF長澤和輝がすかさず右サイドへ展開する。パスを受けたオナイウは抜き切らずにクロスを入れると、MF郷家友太がダイビングヘッドで合わせたのだった。

 追いついた仙台は、その後も好機を作り出す。長崎にもゴールに迫られるが、追加点の予感を漂わせたまま終盤へ向かっていく。

 ドラマはアディショナルタイムに訪れる。90+2分、GK林彰洋のロングフィードからアタッキングサードへ侵入し、MF有田恵人が右サイドからクロスを入れる。FW中山仁斗が薄くフリックし、MF松下佳貴が左足でプッシュした。途中出場の3人が、土壇場で大きな仕事をやってのけた。松下は21年6月の清水エスパルス戦以来、実に3年ぶりのゴールである。

 ところが、試合はまだ終わらないのだ。90+5分、長崎がFKをきっかけにゴールへ押し寄せてくる。仙台も一度は跳ね返したが、途中出場のFWフアンマ・デルガドにヘディングシュートを決められてしまうのだ。その直後、試合終了の笛が鳴り響いた。

 試合後のフラッシュインタビューで森山監督は、「ホントに勝利に値するゲームだった。残念過ぎて悔し過ぎます」と話した。

 勝点3を逃したゲームと言っていいが、試合内容は今後につながる。次節はモンテディオ山形との「みちのくダービー」だ。中位で喘ぐライバルを叩くことで、勢いをつかむことができるはずだ。

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