今年3月、公益法人日本サッカー協会(JFA)の第15代会長に就任した宮本恒靖氏。1977年2月7日生まれの47歳だ。2021年のなかばまでガンバ大阪の監督を務めた後、2022年にJFA理事に選出され、2023年には専務理事としてJFAの実務をリードしてきた。日本サッカーの新時代に向け、宮本新会長はどのようなビジョンを持っているのだろうか。サッカージャーナリスト大住良之が、話を聞いた。
■JFA百周年記念式典で聞いた「田嶋前会長の話」
――それにしても、2022年にJFAの理事に選ばれ、2023年には専務理事という重職に就いたかと思う間もなく、2024年に会長というのは、仕事が非常に多岐にわたるJFAという組織を考えると、不安はありませんでしたか。
「キッカケは、2021年の9月に行われたJFAの百周年記念式典で田嶋幸三前会長のお話を聞いたときだったと思います。“今まで積み重ねてきた百年の歴史を、われわれは次の世代にしっかりと受け継いでいかなければならない”という話、そして、その前に見せてもらった映像を見て、日本のサッカーがまったくのゼロの状態から出発して、たくさんの人の努力や協力を受けて発展し、その先に僕らの育成年代や現役選手時代があったということをあらためて知って、まずは感謝と、そして次代に残していく仕事の重要性を考え、やりがいがあると感じたのです。そして現役時代から考えてきた“この国でサッカーをもっと大きな存在にしたい”という思いを実現させるために、自分がどういうポジションにつき、どうコミット(目標を達成するために全力で取り組む)していけるのか、考えるようになりました」
――JFAの会長選に出ようという決断は?
「JFAに来てわずか2年間で、自分自身がどれだけ準備できているかと自問しました。イエスであれば出ようと思いました。やってみなければわからないこともたくさんあるので、完全にイエスとは思わなかったですけど、2021年の田嶋前会長の話に対し、自分がコミットしたいかということに関しては、間違いなくコミットしたいと」