■「ライバル意識はないし、仕事をしたかしないかだけ」
来季の指揮官がどんな要求をしてくるかは未知数だが、上田が今季以上に出場機会を増やし、目に見える数字を伸ばし続ければ、最終予選で日本代表の大黒柱に君臨できるのは確実。もちろん小川らライバルとの競争はあるが、本人はそれさえも「楽しみ」だと語っている。
「FWっていろんな点の取り方があるし、僕はそれが面白いと思うんで。僕の特徴、航基君の特徴、真大(細谷=柏)、亨梧(古橋=セルティック)君といろんな武器があって、それを見れるのも成長のチャンスなんです。
僕は別に敵対意識はなくて、それぞれのFWが出て点を取るという仕事を果たすだけ。そこにライバル意識はないし、仕事をしたかしないか、ということだけなんです。
シリア戦の先制点も自分の求める形が少しずつ結果になっているのかなと。それを追い求めていくだけだと思います」
周りのよさを参考にしつつ、オリジナルの上田綺世像を築き上げていくというのが、彼のスタイルなのだろう。そういう意味で、今季フェイエノールトでメキシコ人FWサンティアゴ・ヒメネスと共闘できたのもいい経験。「ザ・1トップ」という印象の強い彼から学ぶべき部分は少なくなかっただろう。彼のようにポストプレーとゴールを両立できなければ、名門・フェイエノールトで絶対的FWになれないという現実も突きつけられたはずだ。
上田はそのレベルを貪欲に泥臭く追い求めていけばいい。2026年W杯までは2年あるし、その間にいくらでも大化けできる。シリア戦を1つのきっかけにしてほしいものである。
(取材・文/元川悦子)