■シリア戦で上田が見せる進化
そんな上田の大きなアドバンテージは、堂安らチームメートとうまく連携しながらよさを引き出し合えること。長年一緒にやっている仲間が多い分、熟練度は高い。単なる空中戦や高さという点では小川に分があるかもしれないが、そこにこだわらずに状況や相手によって自分を変化させられる賢さを備えているのだ。
それは森保監督も高く評価している部分。だからこそ、法政大学時代から目を付け、ずっと追いかけ続けてきたのだ。上田に対する信頼は絶大で、最終予選でも主軸に据える意向が強そうだ。そういった路線を貫くのは問題ないが、小川とうまく使い分けたり、2人を共存させることができれば、日本代表にとってのメリットは大きくなる。そういう方向に仕向けてくれれば理想的だ。
もちろん今後、浅野拓磨(ボーフム)も戻ってくるだろうし、来季ドイツ1部に参戦する町野修斗(キール)のような人材もいるから、上田と小川の一騎打ちという構図になるかどうかは分からない。だた、この2人がしのぎを削ることで日本のFW力がアップすることだけは間違いない。
さしあたって、次のシリア戦では、上田が自身の進化を実証することが先決。小川の活躍を刺激にして、大きくブレイクしてほしいものである。
(取材・文/元川悦子)