■スロット戦術で揉まれた上田綺世

 そのストロングを突き詰めていけば、最終予選で屈強なDF陣が揃うイラクやイランのような相手を対峙しても打開策は見い出せるだろうし、W杯本大会でも前線で競り勝てる可能性が出てくる。小川の存在はそういう意味でも大きいのだ。

 とはいえ、現時点での森保ジャパンのエースFW候補筆頭は上田だ。彼は2023年に7点、2024年に入ってからも4ゴールを奪っており、多彩なゴールパターンは誰もが認めるところ。来季からリバプールに赴くアルノ・スロット監督からも「特別な才能がある選手」だと一目置かれていた。

「要求されているところで高いパフォーマンスを見せることがなかなかできなかったし、求められているクオリティの数値にたどり着くために取り組んできたけど、そこにはかなり時間がかかりましたね。スロット監督は素晴らしい指導者だったし、ハイレベルの戦術が合った中で自分が揉まれたからこそ、成長できたとは思います」と上田自身も一皮むけたことを自覚している様子。その凄みを11日の次戦・シリア戦(広島)で示すことができれば、代表での地位はより強固なものになるはずだ。

 上田は異なるFWと自分自身を比較することを好まない選手。小川が頭角を現してきたからと言って、ブレることはない。得点やポストプレー、守備、ハードワークなど幅広いスタイルを突き詰めていく姿勢は変わらないはずだ。

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