■勝者も「レフェリーに惑わされるな」と注意

 まあ、負けた監督が判定に異議を唱えるのは不思議ではない。

 だが、勝利者だった鹿島のランコ・ポポヴィッチ監督も記者会見の席でレフェリーの判定について言及した。

 ポポヴィッチ監督は、どの試合でも判定に対して激しく反応するので有名だ。タッチライン際を走る副審や第4審判に対して、絶えず大声で異議を唱えている。

「でも、今日は勝利したのだから、何も言わないだろう」と思っていたのだが、やはり判定について言及した。「私はいつも感情的と見られているが、リスペクトは欠かさない」と、イエローカードを受けたキューウェル監督に対してチクリと皮肉を浴びせた後、「不利なジャッジがあっても、それに影響されてはいけない。ハーフタイムには選手たちに『レフェリーに惑わされるな』と注意した」というのだ。

 キューウェル監督が異議を唱えたハンドの場面も、スローイン妨害の場面も、直接、得点に結びついた(あるいは、得点が取り消された)場面ではなかった。それなのに、なぜキューウェル監督はあそこまで激しく反応したのか。そして、勝利したポポヴィッチ監督までもが、なぜわざわざレフェリングに関して言及したのか……。

 それは、問題になった場面だけでなく、90分を通して判定基準が揺れていたことで、選手も監督も、そして観客もストレスを感じ続けていたからだったに違いない。

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