■身体を張った守備で仙台が勝点3を手繰り寄せる
1対1に追いつかれた直後に、どのようなリアクションを見せるのか。ここで仙台は、前節との違いを見せる。
52分だった。中盤でボールを収めたMF郷家友太が左サイドへ展開すると、名願がしかける。得意のドリブルで縦へ抜け出し、左足でフィニッシュする。GKが弾いたボールにゴール前へ詰めていた右SB真瀬が猛然と反応し、相手守備陣を混乱させる。こぼれ球をFWオナイウ情滋がねじ込み、仙台は再びリードを奪った。スタメン起用の名願と真瀬が特徴を発揮し、この日は2トップの一角で起用されたオナイウが逆転弾と、森山監督の選手起用が的中した。
ここから先は守勢に立たされた。シンプルにクロスを入れてくる相手に押し込まれ、相手のシュートがバーを叩く場面もあったが、失点は許さない。
86分には松下とFW中島元彦を下げ、DF内田裕斗とFWエロンを投入する。それまで4バックで3トップ気味の相手に対峙していたが、守備時は5バックとするシステムに変え、逃げ切りの姿勢を鮮明にする。後半だけで11本のシュートを浴びながら、仙台は2試合ぶりの勝利をつかんだ。
試合後のフラッシュインタビューで森山監督は、「内容的には決してほめられた試合ではなかった」と切り出した。そのうえで、「いわきさんの勢いにのみ込まれそうなところで、何とか身体張って。身体を張って戦うところは負けないようにしようと話していて、そこは最後までやってくれた」と、選手たちの粘り強いパフォーマンスを讃えた。
今節は4位の岡山が敗れたため、仙台はひとつ順位をあげて4位となった。一方で、2位のV・ファーレン長崎がクラブ記録となるリーグ戦15戦負けなしで、首位の清水エスパルスに勝点1差と迫っている。仙台と清水は勝点8差、長崎とは7差だ。
清水、長崎に食らいついていくためには、仙台も勝点獲得のペースをあげていかなければならない。次節も一戦必勝のメンタリティで、アウェイのヴァンフォーレ甲府戦に挑む。