■「一般人や学生の大会でも使える」と胸を張るも…

 対象となる事象は、「得点」「PK」「退場」「カードの人間違い」の4種類で、VARシステムと同じだが、リクエストによって判定が変われば「2回」の権利は維持され、判定が変わらなければ1回分の権利がなくなるという、他の競技でよく見られる形式である。

 FIFAは5月上旬のユース大会でカメラの台数を3~7台にするなどさまざまなテストを行い、非常に良い結果を得たという。そして「アマチュアや学生の大会でも使える」と胸を張るが、実際にどれほどの経費がかかるのか、明らかにはしていない。

 だが、「グラスルーツ(草の根、一般大衆のレベルで行われる運動)」にまでビデオ判定を持ち込むことに大きな疑問は残る。ワールドカップやプロの1部リーグには、1得点、1勝ち点に大きな「経済的意味」すなわち金銭価値が直結する。だからVAR導入は仕方がないと考えているファンも多いに違いない。しかし、グラスルーツで厳密に「正しい判定」を求めることに、どんな意味があるのか。

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