【川崎・宮城天が移籍と怪我を経て見せる進化(1)】「ゴール前で生きるタイプだなと移籍して改めて思った」と語る“新しい姿”。TRMで1G1Aも、自身に求めるさらなる結果の画像
6月3日の栃木SC戦でプレーする川崎フロンターレの宮城天 撮影:中地拓也

「どうですかね……」

 その一言が、とても心強かった。結果を残したトレーニングマッチ。久々の90分間出場を果たした宮城天は、1ゴール1アシストを記録した。

 12月4日に左内側半月板損傷の手術を行い、以降、リハビリを重ねてきたアタッカーにとって、公式戦復帰に向けてとても良い結果なのではないか――。そう考えて試合後の宮城に尋ねると、首肯せずに、冒頭のような言葉を発したのだった。

 というのも、「3、4点取らないといけなかった」と高いハードルを自身に課していたこともある。それでも、「決まる時は決まるし、外す時は外しますし、外したくて外してないので。感覚だけはしっかり整えながらシュートも打てていたので、本番の試合でもいい状態でゴール前でも冷静に入れるんじゃないかなと思います」と、公式戦復帰を見据えて力強くイメージしていることを説明したのだった。

 6月3日に行われたこのJ2栃木SCとのトレーニングマッチは、宮城天にとって今季3度目の対外試合の出場となる。そして、時間を伸ばしてきた中で、初めて90分間出場した試合でもあった。

「(試合の)最初の時間帯は感覚が変わりなく、怪我する前の自分に戻れて来てるなと思うのでそこは良かったですけど、90分まるまる出るとなったらやっぱりまだ難しい部分があった。90分通しての球際の行くところとか切り替え、裏へのスプリント回数とか、そういうのは全然まだまだだなと。(試合に)出られる段階ではありますけど、もっとやらないといけない」

 後半に決めた遠目からの逆転ゴールと、勝敗を決定づける3点目となった山田新の2点目をアシストするクロス。この日見せたポジティブなプレーとは対照的なほどに、誰よりも宮城自身が高いものを冷静に求めていた。

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