AFCチャンピオンズリーグ(ACL)優勝という、悲願達成はならなかった。横浜F・マリノスは、リードを手にしてアウェイでの決勝第2戦に臨んだが、まさかの大敗。結果が悔しいものであることに変わりはないが、サッカージャーナリスト後藤健生は、この敗北から学ぼうと試合を分析。試合の流れを一変させた「分岐点」と、チームの「問題点」「改善点」を示すとともに、Jリーグのチームが今後、どのようにしてACLとつきあい、戦っていくべきかを考える。
■クレスポ監督の意思を体現した「演技派ラヒミ」たち
第1戦とは戦い方を変えてきたアル・アイン。エルナン・クレスポ監督の意思を、ピッチ上でうまく表現した選手たち。そして、トップのラソフィアン・ラヒミの決定力(および演技力)……。アル・アインが強力なチームだったことは間違いない。
一方、昨シーズンはJリーグで準優勝という成績を残した横浜F・マリノスだったが、今シーズンはまだ新監督の下でチーム作りの模索が続いている状態だ。Jリーグでは、消化試合数が3試合少ないこともあるが、暫定14位と低迷している。
決勝まで勝ち進んだACLでも、ラウンド16のバンコク・ユナイテッド戦、準々決勝の山東泰山戦、そしてPK戦にもつれこんだ蔚山現代戦と、いずれも退場者を出しての苦戦続きで、けっして良いチーム状態とは言えないのが現状だ。
国内リーグの競争が激しいことは、もちろん望ましいことだ。リーグ戦自体も面白くなるし、さまざまなタイプのチームがしのぎを削ることで日本サッカーの競争力はさらに上がっていく。
だが、ACLのような大会では、戦い方が難しくなる。前年に結果を残したクラブが翌シーズンも好調というわけにはいかないのだ。前回大会(形式的には「2022年大会」ということになっている)では、浦和レッズがサウジアラビアのアル・ヒラルを破って優勝しているが、当時の浦和も監督交代の後でJリーグでは苦戦していた時期だった(そもそも、浦和がACL出場権を獲得したのは、2021年12月の天皇杯で優勝したときであり、ACL決勝までには1年半もの時間が経過していた)。