「たとえば、怒ってもいい」
表情や声掛けでのアクションをもっともっと求める川崎フロンターレの鬼木達監督。そこで思い起こされたのが、昨季序盤のやはり勝てなかった時期だ。そのピッチの上で、ふだんはクールな印象を持つ選手が気持ちや要求を強く発する場面があった。そして、1年前の鬼木監督もそれについて肯定的な話をしていた。
そうした選手が負傷や入れ替わりでピッチに立っていないことも要因なのか、そう指揮官に問うと、「サッカー界だけではなくて、“今”っていうこの時代ではないですけど」という言葉が出てきた。
これは推論だが、現代はなかなか声を上げにくい時代でもある。おそらく、職場やそれぞれのコミュニティで、自分の気持ちをどう表現していいか考えたことがある人はきっと多いはずだ。
それが仕事であっても、相手がいる中では気を遣ってしまうこともある。それでも、サッカー選手という職業だけにかかわらず、「やっぱりそこで突き抜けていくために必要なことだし、チームとしても必要だし個人としても羽ばたいていく上では、やっぱり、非常に重要な部分」になるのではないかと、説く。もちろん、表現を考えたうえでのものではあるが、伝えようとしなければ伝わらないことは多い。