引退ラストマッチが今シーズンの「初先発」

「今日の試合も、最初の20分でどうだって率直に話してもらって、自分はもうちょっと出たいと思ったのですが、そこで自分の意識も固まって、とりあえず飛ばしていこうって思ったんです。復帰して足が痛い中でのプレーでしたが、見てくれ、もしいけそうだったら、最後まで使って、前半やり切らせてほしいと思っていたのですが、前半は使い続けてくれました」
 とコメント。昨年5月にフィンク監督に代わって以来、途中出場、今シーズン初先発のこの試合も含めて、7試合だけしか出場していない、自分の現状を冷静に分析しつつも、ラストゲームに賭ける熱い思いを語った。続けて、
「ずっと、そういう生き方をこのヨーロッパでやってきたなと思ったんで、最後までやりきるって意味では、らしい終わり方だったなと思います。さらに、ああいう風(両チームの選手による花道)をやってもらえるのも想像してなかったんで、本当に良い終わり方ができたと思います」
 と、感慨深げに振り返った。そして、この試合、シント=トロイデンの鈴木彩艶、伊藤涼太郎、山本理仁、藤田譲瑠チマ、相手ルーベンの三竿、明本を含めて日本人7選手が試合スタートからピッチに立ったことについて、
「幸せですね。自分自身がヨーロッパに来て、何度も日本人の選手とブンデスでもプレミアでもやったし、スペインでもやったし、常に、そこの場に日本人がいて、その選手たちのおかげで僕もやってこられたと思うんです。

 今回シント=トロイデンで若い選手たちと一緒にやりながら、こういう選手たちをプレーで引っ張れない悔しさっていうのをメチャクチャ感じていて、それが自分の引退を決意させる一つ要因ではあったんです。でも、若い選手たちがもっと上に行ってほしいなっていう思いがあるんで、そういう選手たちと一緒にやれて、いい終わり方だったなあと」
 と、ほほ笑んだ。そして、改めてフィンク監督との1年間を振り返り、開幕時に語った「死に場所を探している」という自身の発言についても言及した。

試合前の練習でも全力プレーの岡崎。膝のテーピングが痛々しい。撮影/渡辺航滋(Sony α‐1)

 

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