「優勝するためには絶対に勝たないといけない相手。昨年2敗した悔しさをぶつけたい」とキャプテンマークを巻く植田直通が語気を強めたように、2023年J1王者・ヴィッセル神戸は鹿島アントラーズにとって因縁の相手だった。
ホーム・鹿島スタジアムで最後に勝ったのは2012年。当時若手だった大迫勇也(神戸)の決勝弾で1-0で逃げ切って以来、12年も白星から遠ざかっているというのだ。
しかも直近の昨季はリーグ2連敗。2023年4月15日のホームゲームは1-5と信じがたい大敗を喫しており、この衝撃は植田や鈴木優磨ら選手たちに今も色濃く残っている。
だからこそ、5月19日の直接対決には自ずから気合が入る。ここまで4連勝で首位に立つ神戸に対し、鹿島も5月無敗で3位と調子を上げている。「まだ成長途上のチーム」とランコ・ポポヴィッチ監督も口癖のように言っているが、完成度は着実に上がっている。それを強敵相手に実証したかった。
最大のポイントは大迫というかつての鹿島のエースを止めること。神戸は守護神・前川黛也や最終ラインから大迫目がけてシンプルに蹴り出し、セカンドボールを拾って攻めてくる形を得意としている。それを出させなければ攻撃迫力は半減する。植田や関川郁万らDF陣はやるべきことを整理して試合に入った。