■相手は川崎の前半の攻撃をどう感じたか

 前後半で違う顔を見せた川崎フロンターレだが、少なくとも前半のプレーは復活を期す中ではポジティブな要素も多かったといえるのではないか。

 たとえばG大阪のGK一森純は、前半について「押し返せなかったですね。川崎には上手い選手が多いですし、そこでメンタル的にやっぱり後ろに、後ろにっていう感じになってしまった。いつもやったらできてるアグレッシブな守備ができなかった」と川崎の“圧”が強かったと振り返っている。

 そして、「川崎は足元だけじゃなくて、狭いエリアでターンもしてくるし、背後も取ってくるし、いいチームなので、多分狙いどころがなかったのかな」とフィールドプレイヤーの思いを代弁した。相手チームに捉えどころが難しいと感じさせるゲームを展開できたことになる。

 では、G大阪は後半に押し返すことができた要因は何か。一森に聞くと、「勇気を持って横パスやバックパスでちょっとの隙間でもラインアップしていこうっていうのは一つの要因かなと思います」と話す。

 結果にこそ結びつかなかったが、その勇気や勝たせたい気持ちを、川崎の選手は強く握りしめている。試合後、高井に聞けば、「みんな勝たせたい気持ちだったり、試合に勝ちたい気持ちは必ずあると思うし、それをもっと表に出すことももちろん大切だと思うし、味方を鼓舞する声もまだまだチームとして足りないと思うので、もう一歩、チームとしてやっていければ」と力強く話す。

 そしてファンウェルメスケルケン際も、「負けることを前提にまず話さないことと、勝つには勝つための逆算をチームとしてやっていくっていうことがとても大事だと思うので、その逆算の作業を毎週、試合までの一定時間がある中でどれだけやれるか、選手・監督含めて、そこが本当に一番」と意気込む。

 連敗を喫した川崎は、次戦はホームに帰っての試合を迎える。対戦相手は柏レイソル。昨年、天皇杯のタイトルを懸けて戦った相手で、リベンジマッチと闘志を燃やしてくるであろう相手だ。

 その因縁を振り払って白星を掴めば、きっと流れは変わる。今のもどかしさを、産みの苦しみに変えるしかない。

(取材・文/中地拓也)

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