■CBの2枚替え

 その解決策の一つが、後半32分のCBの2枚替えだった。G大阪に逆転を許した7分後のことである。ジェジエウ大南拓磨が下がり、代わりに高井幸大をゼ・ヒカルドを投入。CBにはその高井と、SBを務めていた佐々木旭が入った。左SBには橘田健人が入り、アンカーにはゼ・ヒカルドが配置されている。

 際は、「より前に、点を取るしかないっていう部分がはっきり伝わってきた」とその采配を振り返る。SBを高い位置に置くとともに、CBからの配球にも期待があったが、際は、「プラスで走量があって、より上下に、前に、回収して前に、回収して前にっていう作業を求められた」とも指揮官の意図を説明する。

 ピッチに投入された一人である高井幸大は、「得点を取りに行きたかったので、後ろはなるべく同数で守りながら、前に人数を掛けられれば」という逆転へのイメージを膨らませながら試合に入ったという。

 U―23アジアカップで苦しい時間もあった大岩ジャパンのCBの軸として大きく成長したこの19歳に、鬼木達監督は大きな期待を乗せてピッチに送り出した。本人もその気持ちを存分に汲んでいたからこそ、残りの時間で戦う姿を見せた。ビルドアップとパワープレーの両方で、全力を尽くした。

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