■前線からの守備で両チームの選手が語ったこと
後半の途中からは鳥栖は3バックに最終ラインに変更。川崎はそれを崩そうと猛攻を仕掛けたが、結果としてその時間にスコアは動かなかった。
「(川崎の攻撃に)踏ん張れてたかっていうと、本当にパギさんが守ってくれました」とも話して朴を賞賛・信頼する木村は、「基本的には前線が良い守備をしてくれて、限定してくれて、良い状態で自分たちが前に守備を押し出せるとか、背後に蹴らせたボールを回収できるとか、そういうのが今僕らがやろうとしてる守備」とチームとして守れた手応えもあったという。
「センターバック個人の能力で守れたとか、そういう場面はそんななくて、本当に今日試合通して、中盤より前の選手がボール限定してくれましたし、球際強く行ってこぼれ玉とか作ってくれたし、なんならショートカウンターでゴールまで行ってくれたし、本当に今日は前の選手に助けられた」
謙虚にそう語る木村は、「それを後ろから動かすのが僕らの役目だと思うので、そういった意味ではうまい具合に行けてた」と手応えも口にしつつ、そう試合を振り返る。
図らずも、川崎FW山田新からも「失点と言っても後ろだけの責任ではない」という言葉が試合後に聞かれた。5失点の受け止めについて、話を聞いた際のことだ。
「自分たちが前から守備している中で失点してるんで、ミスもありますけど、後ろだけじゃなくてチームとしての守備のところで、前半から足りてない部分も感じてました」
だからこそ、「前半早い時間に2点、3点取れていればと思います。取れてればああいうゲームにならなかったと思うので」と悔やむ。試合ごとにタフさと存在感を増し、この試合でも反撃の狼煙となり得る家長昭博の得点を力強いアシストで導いたが、それだけでは満足はできないと自身に発破を掛ける。
朴のセーブが流れを手繰り寄せたと木村が話せば、自身が得点を決めていれば流れを引き寄せたと山田が話す。点差こそついたものの、一つのきっかけで勝負はどちらに転がってもおかしくなかったのかもしれない。