川崎フロンターレがアウェイの地で大敗したJ1リーグ第14節。サガン鳥栖に5失点を許して敗れた試合後、サポーターは『鉄のハート』で迎えた。ブーイングでも怒号でもなく、川崎フロンターレらしく鼓舞したのだ。
筆者がその光景を見て思い出したのは、2022年に行われたある試合後の岩政大樹監督(当時)の言葉だ。この日、鹿島アントラーズは敗戦。その試合後、指揮官はこう訴えかけていた。
「簡単に変わるもんじゃないよ。俺たちが失ったものはたくさんあるよ。取り返すのに時間がかかるよ」
新たに変革を目指すチームにあって、それがなかなか勝利に結びつかない。指揮官は時間がかかることを呼びかけた。
さらに、川崎フロンターレや横浜F・マリノスを例にも挙げていた。当時のタイトルを獲得していた神奈川県の両チームがそれまでに苦労を重ねたように、その道のりを歩まねばならないと言葉にしたのだ。
その川崎フロンターレは、ここまでの近年、さまざまな形で主力選手が抜けている。今季は、昨年12月に戦った天皇杯決勝のスターティングメンバーの半数近い5人が退団。当然、チーム作りは継続とは呼べないところから始まった。
そうなれば、チーム作りには時間がかかるのも当然といえる。川崎サポーターが鳥栖戦後に見せた行動は、イチからチーム作りに挑む選手やコーチ陣を励まし、そして、鼓舞するものに見えた。