■鬼木監督が感じたこと
90分で5度の失点は精神的なダメージが大きい。それでも、サポーターは声援を止めなかった。ピッチの上で走る選手を突き放すことは、このチームではありえない。だからこそ、試合後にはチャントを歌い上げた。
「下を向くな!」
「一緒に闘おう!」
合いの手のように、前向きな言葉が投げかけられる。必死に叫ぶ姿は、共闘以外の何物でもない。
選手も指揮官も、この“共闘”を幸福なことだと実感しており、だからこそ悔しさを募らせる。試合後の鬼木達監督は、その思いをこう話す。
「感謝しかない。今日のような結果であれば怒りもあるでしょうけど、それを逆に声にして歌にして、そこには感動しかないですし、だからこそ、自分は誰よりも悔しい。そこに応えられなかった。だから選手には“次”が大事だという話をしています。当然、一緒に喜び合いたい」
文章には表せない悔しさともどかしさを見せながら、鬼木監督は心中を説明した。
(取材・文/中地拓也)
(後編へ続く)