先制点が伏線になる形で、川崎フロンターレの元フランス代表ストライカー、バフェティンビ・ゴメスの2ゴール目が生まれたのは43分だった。
敵陣の左タッチライン際でボールを持ったMF遠野大弥が振り返る。
「顔を上げた瞬間にバフェ(ゴミス)がボールを要求していたのが見えたので、どんな形であれ、彼に当てて中へ入っていけば、必ず返ってくると信じて走りました」
右斜め前方のペナルティーエリア内にいるゴミスへ、遠野は迷わずにボールを預けた。背中には相変わらず北海道コンサドーレ札幌のDF家泉怜依が、抱きつくように張りついている。それでも厚い信頼関係が再びホットラインを開通させた。
このときもゴミスは動じない。パス&ゴーから遠野もどんどん近づいてくる。落とすのか。それとも、またターンするのか。選択肢がある分だけ家泉も迷う。
ゴミスが選択したのは、右足のワンタッチによる遠野への優しいパス。あうんの呼吸で受け取った遠野が、そのままペナルティーエリア内の左を抜け出す。