■「一発勝負の怖さがある」ノックアウト方式
退場で数的不利に追い込まれたときだけでなく、逆に数的優位に立った場合も、浮足立って自分たちのプレーができなくなってしまうことが往々にしてある。
日本が相手GKの退場によって数的優位に立ったのは、準々決勝のカタール戦である。
アジアのオリンピック予選は、かつてはワールドカップ予選と同じようにホーム&アウェーの総当たり形式で行われていた。ところが、2014年にU-23選手権が創設されて、2016年のリオデジャネイロ・オリンピック以降はU-23アジア選手権(アジアカップ)がオリンピック予選を兼ねることとなった。
今大会の場合、3位までに入れば出場権獲得、4位になればアフリカ代表とのプレーオフというレギュレーションだった。
ホーム&アウェーの総当たり方式なら、実力が結果に反映されやすい。だが、ノックアウト方式となると一発勝負の恐さがある。つまり、準々決勝は、そこで負けたらすべてが終わりのサドンデスなのだ。
グループリーグでどんなに素晴らしい内容で3連勝していたとしても、準々決勝で完全にゲームを支配していたとしても、結果として準々決勝で敗れればすべてが終わってしまう……。
これほど大きなプレッシャーがかかる試合というのは他にはあまり類例がない。
まして、これまで7大会連続で予選突破を続けてきた日本の選手たちにかかる重圧は計り知れないものがあったはずだ。