■「悪い方向に行かないように」という前向きなマインド

 ただ、本人はあまり気負わずに取り組むことを心がけていた様子だ。

「チームが勝てない、結果が出ないっていうのは、みんなの責任ではあるとは思うんですけど、僕はずっとピッチに立ってますし、先頭に立つ身として責任は大きいなと感じつつ、日々を過ごしていました。ただ、『それが悪い方向に行かないように』というのは、気をつけながらやってました」と彼は語る。

 脇坂があえて前向きなマインドを意識したのは、昨季の橘田健人の姿を間の当たりにした部分もあったからだろう。橘田もキャプテンになった途端、過度な重圧と責任感から不振に陥り、一時は定位置も失うことになった。

「彼も考えすぎて自分のプレーを見失った部分があったんで、そうならないようにしないといけないとは感じました。やっぱり自分のプレーをすることが一番ですし、それが一皮ふた皮剥けることにもつながるんで。

 チームというのは、1つ結果が出ると変わる部分もあれば、1つ1つクリアして解決していく部分もある。その作業が好結果につながらなかったとしてもやり続けるしかない。キャプテンとしてチームを1つの方向に導くことは意識していました」と冷静に言う。

 こうした意識が浦和戦・前半18分の先制点につながった。右からのスローインをバフェティンビ・ゴミスがキープし、外にいた家長昭博に展開。彼が中に入れ、遠野大弥が頭で合わせた瞬間、脇坂は空いたスペースに猛然と飛び込んで右足を一閃。チーム全体に活力を与えたのである。

「ここ最近の自分の中でのテーマは『ゴール前で仕事をする』『ペナルティエリア内で仕事をする』ということ。多摩川クラシコのFC東京戦でも詰めてゴールを決めましたけど、こぼれ球に入る、詰める感覚をつかみつつあるんで、これからもっともっと積み重ねていければなと思います」と彼自身も手ごたえを口にする。

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