イラク戦「勝因」と大岩監督を苦しめるコロナ禍「後遺症」と海外組「制約」【パリ五輪出場サッカーU23日本代表が抱える「大問題」】(1)の画像
サッカーU‐23日本代表をパリ五輪へ導いた大岩剛監督だが、この先には、さらなる困難が待ち受ける。撮影/中地拓也

 サッカーU-23日本代表が、8大会連続となるオリンピック出場を決めた。U-23アジアカップ準々決勝でイラクに勝利してパリ行きの切符を手にしたのだが、喜んでばかりはいられない。開幕まで3か月を切っている本大会をにらみつつ、サッカージャーナリスト後藤健生が、山積する問題をズバリ指摘する。

■パリ五輪出場が決定「一番の勝因」は…

 U-23日本代表が4月29日に行われたU-23アジアカップ準決勝でイラクを破り、パリ・オリンピック出場を決めた。

 イラク戦の日本は左サイドハーフを準々決勝カタール戦の佐藤恵允から平河悠に変更しただけだった。オリンピック出場に向けて最も重要な準々決勝と準決勝の2試合をほぼ同じメンバー、現時点でのベストメンバーで戦えた。それが一番の勝因だったのではないか。

 こうした選手起用が可能になったのは、ターンオーバーを使いながらグループリーグを乗り切ったからだ。大岩剛監督は「誰が出ても戦える」チームを作ってきたが、それがこうした中2日、もしくは中3日の連戦という厳しいスケジュールの大会で生きたのだ(これは、大岩監督のU-23代表だけでなく、各カテゴリーの日本代表に共通して言えることだ)。

 ターンオーバーを使いながら、苦戦を強いられながら戦ってきたことでチームの一体感は増し、選手間の相互理解も高まったようで、イラク戦は今大会最高のパフォーマンスを発揮することができた。その結果、イラク戦はシュート数で16本対11本、枠内シュートで10本対3本という完勝となった。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5