大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第136回【「裸足サッカー」ワールドカップの大舞台へ】(3)元代表キャプテン激白「棄権」真実、「4位」快挙と巨人「初出場」の画像
前回のカタール大会はメッシ率いるアルゼンチンの優勝で幕を閉じた。インドの初出場は…。(写真はイメージです) 撮影/原悦生(Sony α‐1)

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような、「超マニアックコラム」。今回のテーマは、サッカー史に残る奇談。

■エースがシューズを脱いでプレー「8-1で大勝」

 インドでは、サッカー選手の多くがホッケー選手でもあった。ホッケーは、カルカッタ以外の地域ではサッカーを大きくしのぐ人気競技だったが、インドのホッケー選手には裸足でプレーする者が多かった。1936年のベルリン・オリンピックのホッケー競技でインド(正確には英国領インド)は金メダルを獲得したのだが、そのときにこんなことがあった。

 決勝戦の相手は地元ドイツ。このとき、インドの選手たちは全員シューズを履いてプレーしていた。インドは圧倒的な優勢で試合を進めていたのだが、後半、エースのディアン・チャンがシューズを脱いで裸足でプレーし始めると、彼の活躍で見る見るうちに点差が開き、8-1で大勝してしまったのである。

 ちなみに、このオリンピックにはその前回、1932年のロサンゼルス・オリンピックで銀メダルを獲得した日本のホッケー代表も2大会連続で出場し、各国が22人の選手をエントリーする中、わずか15人の選手で奮闘し、アメリカに5-1、ハンガリーに3-1で勝ち、インドには0-9で敗れたものの、その後の順位決定戦ではデンマークに4-1で快勝して7位となっている。

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