■「どんなことをしても勝つ」爆発力と熱さがない

 グループリーグ3試合を見ると、このチームは戦術理解度がとても高いことが分かる。そして、退場者を出して1人少なくなっても冷静に戦えたし、UAE戦では多彩な攻撃のパターンを見せた。セットプレーのバリエーションも豊富だ。

 韓国相手でも、1点リードされた後は相手をゴール前にくぎづけにするだけの力があった。

 しかし、完成度が高く、冷静に戦えるのだが、爆発力のようなものがないのだ。

 絶対的なエースは不在だし、どんなことをしてもゴールを奪ってやろうといった熱さが感じられない。

 最近は、日本相手に結果が出ないことが多かった韓国は、日本戦の勝利にかなり執着していたが、それに比べて日本選手には「どんなことをしても勝ってやろう」という気迫のようなものが感じられなかった。

 冷静さや戦術的な多様性の上に、そうした爆発力が加われば、1つ上のレベルのチームに進化できるのだろうが……。

 グループリーグはターンオーバーを使い、勝点計算をしながらの戦いだった。だが、準々決勝以降は一発勝負の、本当の意味での戦いとなる。準々決勝の対戦相手は開催国カタールだし、その後も中東諸国と対戦すれば、やはりアウェーの環境だ。

 そうした中で、魂のこもった熱い戦いを展開してくれることに期待したい。それがチームを大きく成長させるのだろうし、結果(予選突破)にもつながってくる。

 U-23日本代表が韓国に敗れた同じ日の少し前の時刻に、タイのバンコクで開かれているフットサル・アジアカップ(兼フットサル・ワールドカップ予選)で日本代表がタジキスタンと引き分けて、まさかのグループリーグ敗退となってしまった。

 この数年、日本はあらゆる男女各年代のワールドカップに出場し、そのほとんどでグループリーグを突破するという快挙を成し遂げていた(ただし、ノックアウト・ラウンド初戦で敗退することが多かったが)。

 フットサル日本代表の敗退で、その“連続出場”の流れが止まってしまった。だからこそ、続けてオリンピック出場権まで失うわけにはいかないのである。

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