■称賛に値するトップ細谷真大「パスコース」制限
そして、「1点リード」という状況を最大限に活用して戦う。失点さえしなければ、相手は焦りを生じるから、そこでカウンターで仕留めれば、それが最高のシナリオとなる。
大岩監督はセンターバックの木村誠二を投入して4人の最終ラインを再構築。そして、藤田譲瑠チマと松木玖生の2人をボランチとして、前線はトップに細谷真大、両サイドに山田(右)と平河悠(左)を置き、戦い方も守備的にシフトした。
11人がそろっている状況では、前線からのハイプレスでボールを奪いに行っていたが、人数が少ないと前線からのプレスは不可能だから、トップの細谷真大は深追いはせずに、相手陣内に10メートルほど入った位置で相手を追いかけてパスコースを制限する(ほぼフル出場して、その作業を続けた細谷は称賛に値する)。
中盤では藤田譲瑠チマと松木の2人がよく守った。
藤田はボール奪取能力を生かして最終ラインの負担を軽減させ、状況判断に優れた松木は最終ラインで守備に参加していたかと思えば、チャンスには前線に飛び出すなど、豊富な運動量で人数の差を埋めた。
こうして、前半38分に陶強龍のシュートがクロスバーの下を叩くというピンチもあったが、日本は中国の攻撃を90分間でシュート10本に抑えることに成功した。
最後までハードワークを続け、攻撃に移りたい気持ちを抑えながら、割り切って守備に徹する難しい戦いを続けた選手たちの冷静さは称賛に値する。