日本サッカーの発展はすさまじく、トップカテゴリー以外のチームも、著しくレベルが上がっている。そんな中、地域リーグから新たな挑戦をしているのが、南葛SCだ。かつて川崎フロンターレを強豪へと押し上げる礎を築いた風間八宏監督と南葛SCの挑戦に、サッカージャーナリスト後藤健生が目を凝らす。
■関東リーグの強豪に「2点差」逃げ切り
そういう意味で、開幕第2節で関東リーグの強豪、東京ユナイテッド相手に勝利したことは、大きな自信につながるだろう。
東京ユナイテッド戦でも、キックオフ直後は相手のハイプレスにかなり苦しんでいた。自陣に押し込まれてしまう時間も長く、また、危険な位置でボールを奪われる場面もあり、7分には奪われたボールを追った今野泰幸がファウルを犯してイエローカードをもらった。
さすがに、相手は関東リーグの強豪だった。
しかし、攻撃面では南葛の動きはかなりスムーズだった。
とくに、左のシャドーストライカーの加藤政哉とウィングバックの神田洸樹。それに、左DF田中大生が絡んだサイドからの突破が有効だったし、またボランチの玉城峻吾からのスルーパスも相手陣内の深いところを衝いた。
そして、トップにいるのが清水エスパルスなどで活躍した大前元紀だ。34歳になった大前だが、ワンタッチでさばくボールタッチにはさすが元J1プレーヤーという貫禄があった。
そして、時間の経過とともに東京ユナイテッドの前からのプレッシャーが弱まっていく。この日の東京は初夏のような気候に恵まれ、16時開始の試合だったが、公式記録によれば気温は23.6度。暑さのせいで、東京ユナイテッドの足が止まるのが思ったより早かったのも、南葛にとっては幸運だったのかもしれない。
いずれにしても、時間の経過とともに南葛のチャンスが増えていき、18分には左からドリブルで仕掛けた田中が倒されてPKをゲット。
このPKは大前が左のポストに当ててしまって得点にはつながらなかったが、その後もドリブルでの仕掛けやゴール前でのパスなどでチャンスが続き、33分には右サイドで運動量を誇る佐々木達也が入れたクロスを大前が強烈なヘッドで決めて先制。後半も優勢に試合を進めた南葛は71分に左CKからのボールをDFの柳裕元(ユ・ユウォン)が頭で押し込んで2点差として、そのまま逃げ切った。