■「この世界は勝てばそれが正義になる」

 特殊と言っても、何も町田を卑下しているわけではない。むしろその逆。元日本代表FW岡崎慎司を擁してイングランド・プレミアリーグで初優勝した、2015-16シーズンのレスター・シティFCをほうふつとさせると武藤は言う。

「本当にやることが明確で、なおかつハードワークできる本当に素晴らしいチームだと思う。戦術がどうこうといろいろ言われているけど、やはり首位に立っていたチームだし、正直、この世界は勝てばそれが正義になるので。その意味でも、僕たちもただ単に負けたくなかった。チームとして今日は本当に気合いが入っていた」

 戦い方が明確になっていた点以外にも、神戸の選手たちのモチベーションを高めた要因がある。絶対的な存在、FW大迫勇也が65分で負傷退場した7日の前節は、横浜F・マリノスに1-2で敗れていた。優勝した昨シーズンは連敗が一度もなかっただけに、2連覇を目指していく上で町田には絶対に負けられなかった。

 しかも、大迫が欠場した状況で町田に苦杯をなめれば、周囲からはまず間違いなく「やっぱり……」といった視線を向けられる。さらに今シーズンへ臨むにあたって、チームの全員で共有した合言葉があると副キャプテンのDF山川哲史は言う。

「僕たちはどちらかと言うとチャンピオンというよりも、いまも本当にチャレンジャーの気持ちで毎試合、毎試合を常に全力で戦っているので」

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