パリ・オリンピック開幕が近づいている。サッカー女子日本代表にとって、女子ワールドカップに並ぶビッグな大会である。この4月には、アメリカで開催された強豪がそろう大会「シービリーブスカップ」にも出場。来たる世界大会に向けて、どんな課題と手応えを得たのか。サッカージャーナリスト後藤健生が考察する。
■アメリカとの再戦「しっかりとパスをつないで勝負」
フィジカル的な能力では、アメリカが世界最高レベルにあるのは間違いない。そういう相手に、個人対個人の勝負を挑まれては、やはり日本は劣勢に追い込まれてしまう。
もちろん、最終的には1対1の勝負で頑張るしかないのだが(守屋都弥が早い寄せでロドマンと互角に渡り合っていたのは頼もしかった)、やはり、日本は集団的なサッカーで戦うべきだ。
しっかりとパスをつないで勝負するしかないのは間違いない。
日本代表としては、次に(たとえば、パリ・オリンピックで)アメリカと対戦したときには、しっかりとパスをつないで、相手陣の深いところまでボールを運ぶことだ。
そうすれば、自分たちが攻撃する(ボールを握る)回数、時間を増やすことで守備の組織を整える時間を得ることができるし、そして、ボールを奪われたとしても自分たちのゴールから遠いところで奪われたのなら、中盤で相手の攻撃スピードを遅らせることもできるだろう。
だが、「シービリーブスカップ」のアメリカ戦では、あまりに単純な技術的ミスが多すぎた。相手にプレッシャーをかけられたわけでもないのに、DFの間のパスミスが起こったり、GKからのパスをカットされたり……。あれでは、守備が整う前に攻撃を受けてしまう。